同期の修論に向けての発表を大量に聞いて思ったこと。

自分は発表しなかったのだけど、今日は13時開始で大学院同期の修論に関する発表を7つ聞いてきた。

お互いに修論に向けての現状について発表しあってコメントや質問をもらおうみたいなかんじで、僕みたいに聞くだけの人も参加しつつ1つの部屋に集まって18時半くらいまでやっていた。普段触れることのないテーマの研究も知ることができてすごく勉強になった。

(さすがに疲れたので帰りに駅前のバーガーキングハンバーガーだけでなくビールも飲んでしまったのでまともな文章になるか不明だけど)、思ったことを3つ書いてみようと思う。

1:「経済学って共通の言語があって強いな」と思った。

これはこの前の学期にまったく知らない分野である租税競争の授業を取ったときにも思ったことだけど、まったく自分が触れたことがない分野でも経済学の共通言語を共有していることで割と大枠のキャッチアップはしやすいなと思った。

全然知らないテーマでも「これは一般均衡分析をやっていて」みたいに言われたら、「大体こういう要素が必要でこういう構造になりそうだよね」みたいなこと想像がついたり、時間が入っているモデルだったら「意思決定の構造はこんなかんじだろうな」みたいに想像がついたり。「これはコアマク(大学院必修のマクロの授業)でやったーーーに近いのだけど」みたいな説明がなされる場面も多かった。

実際に大学院1年目で授業を受けているときには、「自分の専門でもないテーマについて授業を受けるの面倒だなぁ」と思ったりもしたけど、こうやって色々なテーマについて割と簡単にキャッチアップできるようになれたのは嬉しい。もちろん分野特有の細かい点などはあるけど、そ分からないところをすぐに質問できる状況であれば思ったよりも大枠を理解することはできるなと思った。

共通言語と共通トレーニングがしっかりある経済学という学問の強さを再認識しました。

2:「大きなことを考えたいなぁ」と思った。

本当に色々なテーマについての研究を聞いたわけだけど、それぞれの人がそれぞれのテーマについてすごくよく考えて分析していることを再認識して、「誰だって普段は自分のテーマについて考えるだけで手一杯だよな」と思った。

ある人がやっているテーマも他の人がやっているテーマもどちらも社会に関する(そして今回の発表では割とみんないわゆる"経済”について)テーマなのに、お互いの発表を聞くと「そんな研究があるんだ、面白い、知らなかった」みたいな反応になる。

僕も自分がやっているテーマは重要だと思うし面白いとは思うけど、”社会ってものについて大きく考える”みたいなことはかなり意識しないと自分のテーマだけで手一杯になってしまってできないよなと思った。それぞれのテーマにややこしい論点があるわけで難しい問題ではあるけど、自分としては多少犠牲を払っても(それぞれの専門家から細かい点について叩かれるリスクはあっても)大きく考えるってことにもいつか意識的に挑戦してみたいなと思った。

普通にやっていたら「社会に関する論点のほんの一部である特定のテーマについて考えるので手一杯」みたいになってしまうわけだと理解しました。

3:「意外と感動はしなかったな」と思った。

これは終わったあとに思ったことだけど、意外と「新しい分野めっちゃ面白い!!!!」みたいにはならなかった。「へー興味深いし面白いな」とは思うんだけど、なんていうか「想定の範囲」だった。

これは今日の発表のレベルがどうこうって話ではなくて、「どの分野についても研究のフォーマットは事前にある程度想定できてしまえるようになってきた」てきな感覚。例えば「ミクロ実証ならだいたいこういうフォーマットじゃないかなぁ」みたいなのが事前に想像がついて、ちょっとイレギュラーな場合でも「たしかにそういう事情があるならそういう風にフォーマット変えるのは妥当だな」みたい想定ができるかんじ。リサーチクエッションについても「たしかにそういうリサーチクエッションで色々やると楽しそう」みたいな感覚になることが多かった。

また、今回は全然想像すらつかない変なテーマには出会わなかったけど、仮にそういうものに出会っても感動はそこまで大きくない気がする。というのもすでに自分がすごく興味があるテーマについては手を出そうと試行錯誤してきたのと、「うわ!こんなテーマあるんだ!やば!」みたいな感動を、例えば僕の場合では「指標」に関する研究を初めて知ったときなどに味わってしまっていることで、少しずつ刺激に慣れてしまってきた側面(仮に想定外がきても想定外に出会うことに慣れてきた側面)もありそう。

学部のときなどにはどんな研究を聞いても「おお!!」となることが多かったのですが、よくも悪くも経済学の研究を冷静に見れるようになったなと思い、寂しいような嬉しいような気がしました。

Fin.