東大公共政策大学院所属で、経研のコアを取っている現状からの情報提供



*この記事は東大公共政策M1の橘さんの寄稿です。このブログの管理人は東大経研(経済学研究科)の院生ですが、「東大経研(や他大学の経研)と東大公共の両方の入試に受かったがどちらに進学するか悩んでいる」という声をこれまで複数回聞いたことがあります。

このことについて、「経研と公共の両方知っている人は少ないからアドバイスとかするにしても難しいよね」とツイートしてみたところ、橘さんから、「私は公共所属ですが、経研のコア科目(必修6科目)を取っており、情報提供など協力できるかもしれません」という連絡を頂き、作戦会議をした結果、今回の記事が実現しました(構成や経研に関する記述などは一緒に確認しました)。

――――――

 

『東大公共政策大学院所属で、経研のコアを取っている現状からの情報提供』

 

ー 自己紹介

公共政策大学院経済政策コースM1の橘です。最初に少し自己紹介をさせてください。私は他大学経済学部出身で、大学院受験では東大の経済学研究科は落ちてしまいましたが、東大の公共政策大学院(経済政策コース)は受かり進学しました。2022年の4月入学で現在Sセメ(春学期)を終え、Aセメ(秋学期)の終盤に差し掛かったところです。

受験時点では大学院卒業後の希望進路として、博士進学か就職か決めかねていましたが、現在は公共政策大学院の博士課程を始めとして博士進学したいと考えています。


ー 想定読者

今まで20人弱の方から、「東京大学公共政策大学院ってどんな感じですか?修士進学に際して経研と公共で迷っているんです・・・」などのご相談を受けたことがあり、その際に私自身もそうでしたが、院進学を検討するにあたり、基本的な情報をあまり持っていない、直接話を聞ける先輩や同じような進路を考えている他の人と知り合いづらいなど、情報面での難しさに直面している受験生の方はたくさんいらっしゃることを痛感しました。

そこで、そのような方々に少しでもお力になれるように、公共にいながら博士進学を目指し、経研のコア科目(後述)も受けている自分から伝えられることをまとめてみることにしました。「公共政策大学院」についての標準的な説明になっているかは分かりませんが、「公共政策大学院所属で博士進学を目指す場合のイメージ」を共有することを第一の目的にしました。そのため、扱う題材やお伝えする情報に偏りが生じるかもしれません。

この記事の想定読者は主に以下の2つのタイプの方々です。

1:「そもそも公共の制度をあまり知らない」という方

2:「進学に際し、経研と公共で迷っている」という方(特に卒業後の進路として博士進学と就職のどちらを目指すか諸々の理由から悩んでいる方)で、「公共所属で博士進学を目指すとどういう院生生活になるか」のイメージを掴みたい方。

また、この記事はあくまで個人の発信であり正確な情報は公式ページなどをあたるようにお願いします。他大学の公共政策大学院とは相違する点もあると思いますのでご了承ください m(_ _)m

 

そもそも東大公共政策って?

 

ー 東大公共の概要

東京大学公共政策大学院*1(以下、公共)は、東京大学経済学研究科と法学政治学研究科によって設立されました。公共には5コース(法政策・公共管理・国際公共政策・経済政策・MPP/IP)あります。

公共は専門職学位過程(後述)ですので修論が必修ではないです。卒業単位はどのコースも46単位ですが、コースによって必修科目数がかなり変わってきます。なお、経研と悩む人は基本的に経済政策コースを受けることになると思います。

公共がどのような目的で、どのような人材育成を目指しているのかを、HPを参考に以下に短くまとめてみました!

「時代が直面する課題を適切に認識し、それに対する対応策を構築、評価するとともに、それを国民に伝達し、合意を形成する高度の能力を必要とするような、公共政策に関わる政策プロフェッショナル(政策の形成、実施、評価の専門家)の養成を目指しています。」

詳細については、「設立の趣旨」をご覧ください。https://www.pp.u-tokyo.ac.jp/overview/

 

また、公共の特徴の一つとして留学生がとても多いです!(実際の数字ではなくラウンジにきている学生の割合などの)体感としては日本人と留学生が1:1くらいです。ほとんどの留学生がMPP/IPコースを受験(秋入学)しているのに対し、日本人学生は基本的に春入学になるので公共は0.5年ずつ入学生が入ってくることになります。また、授業も学年混合が多いため縦と横のつながりが必然的に強くなります。まるで日本にいながら留学しているような気分です!

 

ー 公共は「専門職学位課程」

 

公共は「専門職学位課程」です。東大の経済学研究科は「修士課程」です。英訳すれば公共も経研も「master」扱いになりますが、厳密にいうとそのような違いがあります。

 

そもそも専門職大学院は、文部科学省によると(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senmonshoku/index.htm)、

「科学技術の進展や社会・経済のグローバル化に伴う、社会的・国際的に活躍できる高度専門職業人養成へのニーズの高まりに対応するため、高度専門職業人の養成に目的を特化した課程として、平成15年度に創設されました。特徴としては、理論と実務を架橋した教育を行うことを基本としつつ、

 

1:少人数教育、双方向的・多方向的な授業、事例研究、現地調査などの実践的な教育方法をとること

2:研究指導や論文審査は必須としないこと

3:実務家教員を一定割合置くことなどを制度上定めています。」

となっています。

今まで私が聞いてきたお悩みの中でも、「公共は研究科じゃないのがネックです・・・」というような内容もありましたが、研究科や公共はどのような学生養成を目指しているのかを理解し、自分の将来設計にあった道を選ぶといいかもです(まあけどそれができたら進学で迷うことなんてありませんよね・・)。

経研と公共の制度的違いを知りたい方は、以下の「大学院修士課程と専門職大学院との制度比較」をご覧くださいhttps://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1337126.htm

 

公共の博士への進学

 

ー 公共修士から公共博士(経済系)に進学したい場合でも、経研のコアを全て履修する必要がある。

 

自己紹介のところで「公共の学生でありながらなぜ経研のコアをとっているのか」と思われた方もいるかもしれませんが、その一番の理由がこれにあたります。笑

そしてこのブログで一番伝えたいことでもあります。

 

まず、前提として(修士課程は5コースですが)公共の博士課程は「法律系」と「経済学系」の二つに分かれます。そして、公共の修士課程から公共の博士課程(経済学系)へ進学する場合には、東大の経研のコアコース(ミクロⅠ・Ⅱ、マクロⅠ・Ⅱ、計量Ⅰ・Ⅱの合計6科目12単位)を「優秀な成績」で修得する必要があります。

 

大事なのでもう一度書きます笑

公共修士から公共の博士進学(経済系)したいと思っても、経研のコア科目をとらないと進学条件をみたしていないことになります。

 

この情報は少し見つけづらいところに載っており、公共のHPの「博士課程 入学案内FAQ」というページの「What kind of specialized knowledge foundation should I have prior to the enrollment?」という質問のアンサーに書かれています。https://www.pp.u-tokyo.ac.jp/en/admissions/doctoral-course-graduate-research-students-program/faq/

 

余談ですが、受験前の自分はこの情報を見逃してしまっていました。そのため入学初日の説明会で、博士進学希望者は経研のコアを履修しないといけないことを初めて知り、博士進学も検討していたため、「(履修計画を立てる)この1週間くらいで経研コアを取るかどうかの決断せなあかんやん!つまり、もう博士進学に全振りするのかどうか、卒業後どんな人生設計にするのかも決めなあかんやん!」と衝撃が走ったのを今でも覚えています。笑

加えて、博士課程の出願には「修士論文またはそれに代わるもの」が必要です。これは「法律系」「経済系」のどちらに進学するにせよ必要です。公共の博士課程の詳細については下記公共公式ウェブサイトをご覧ください。http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/education/doctoral-course/

 

ー 経研コアの試験を受けられる回数

公共の修士課程から博士進学のためにまず経研のコア科目を受ける場合に注意しなくてはならないのが試験の回数です。

経研の院生の場合は、経研のコア科目の試験を(それぞれの科目について)最大3回まで受けるチャンスがあります(M1で本試験と追試、M2は本試のみの3回)。経研の院生はM1でコア科目を受けて、追試含めても経研の博士進学条件を満たす成績を得られなかった場合、M2時に聴講という扱いでその科目の試験を受けられます(つまり3回目のチャンスがM2で用意されている)。

しかしこの制度(M2での3回目のチャンス)は、公共の院生は対象ではありません。したがって、公共の院生はM1で経研のコア科目を履修した場合、本試験と追試験のどちらかで良い成績を取る必要があります(M1で可能な試験回数については経研の院生でも公共の院生でも同じで本試と追試の2回です)。厳密にいうと、M1で履修はしたがあえて試験は受けなかった、試験は受けたが単位を落とした場合には、公共の院生でもM2で正規の履修として試験を受けることができるようです。

経研の院生が最大で3回チャンスがあるのに対して、公共の院生は最大で2回までしか経研のコア科目で良い成績を取るための試験のチャンスがありません。

このような事情から、経済学の学部上級レベルの理論にそこまで触れてこなかった人については、そのコア科目をM1で履修してしまい単位を取得すると博士進学が危ぶまれる可能性があり、戦略的に一部のコア科目についてはM2に履修を回したり、M1で履修はするが試験をあえて受けないなどの選択を必要に応じて取ることをおすすめします。

なお、博士進学に必要なコア科目の成績として経研の院生が経研の博士課程に進学する場合には、「ミクロとマクロはA、計量はB以上」と明確に基準が決まっていますが、公共の院生が公共の博士課程に進学する場合の具体的な基準は明確にはなっていません。

整理すると、公共の院生が公共の博士(経済学系)に進学したい場合には、経研のコア科目をすべて履修して「優秀な成績」を取ることが必要であり、その際に最大で試験を受けられる回数が経研の院生よりも少なくなっていることに注意が必要です。

 

公共の各側面について

 

ー 授業(経済政策コース)


以下では経済政策コースの授業一般について簡単に説明します。経済政策コースの必修科目は多くありますが、その中でも公共政策のコア科目(ミクロ、マクロ、計量)を取る必要があります。ただし公共のコア科目について経研の対応するコア科目の単位で代替することができます(公共の博士進学を目指す場合にはこの代替を行うのが必須になります)。

なお、経研のコア科目を12単位取得してそれを持って経済政策コースの必修である公共のコア科目を代替する場合には取得した12単位が卒業単位として換算されますが、これは例外的な処置であり、基本的には他研究科の授業は8単位までしか卒業単位として換算されません*2

公共のコア科目は、経研の院試筆記試験対策を十分にやって来られた方であれば、そこまでつまずくことなく単位を取得できると思います。ちなみに、経研も公共のコア科目も英語のみの開講です。成績の付け方に関しては、経研も公共も課題と試験で決まります。

また、経済政策コースにおいては法学や政治学の基礎の必修科目として単位を取得しなくてはならないですが、あくまで私の感想では普通に基礎レベルではない授業もあるので注意が必要です。笑 ちなみに、政治学科卒の同期は「法学、政治学は基礎的内容ではあるものの、初学者にはやや難しい(入門レベルとは言えない?)というくらいの方が正確かも」と言ってました。

ただし、例えば政治学の必修の授業の中にも、「政治学未習者」を対象としている授業や、既習者(ないしそう判断されたもの)は成績の付け方が変わるなどの配慮もあり、自身の学習状況に合わせた学習が可能です。

今年度の授業科目や「履修・教務手続案内」はこちらをご覧ください!https://www.pp.u-tokyo.ac.jp/education/courses/

 

ー 公共からの博士進学

 

公共は「専門職学位課程」なこともあり、博士進学者は少ないです。しかし毎年少なからずですが、博士課程に進学する方はいらっしゃいます。公共政策の博士課程ではなく政治や法律の研究科の博士課程に進学する人も毎年数人いらっしゃいますが、経済学研究科の博士課程に進学された方はあまり聞きません。

また、事務にも問い合わせましたが、具体的な進学先は開示できないとのことでした。

ー 公共の就職


やはり公共は就職する人が多いです。その中でも就職先やインターンはコンサル、シンクタンク、国家公務員が多い雰囲気です。

公共の就職率の情報は開示されているので以下をご覧ください。https://www.pp.u-tokyo.ac.jp/en/admissions/master-course-admissions/admission-results/

 

ー 公共の設備

設備面も生活するうえではすごく重要な点ですよね。

公共には、学生ロッカー室 ・学生自習室 ・学生ラウンジ ・学生PC室 ・ディスカッションスペース ・Reflection Room(主にお祈りをする場所として使われています)があります。全て赤門総合研究棟の4階にあります。

経研には経研の自治会に加入すると「院生室」という院生のみが使える部屋(M1の間は大人数で共用、M2以降は数名で1部屋)が割り当てられる制度があります。しかし公共にはこのような個別の部屋はありません。

ただし、ラウンジと自習室の収容人数はとても大きく人数を気にせずに使用することができます。ラウンジはご飯を食べたり、会話を楽しんだり、勉強をしたりと自由に使える場所です。みんな授業おわったら一旦ラウンジ行くというのが恒例で「ラウンジに行けば誰かに会える」が合言葉です。笑

ラウンジのリアルな使い方説明?をすると、大きめのソファでは(恥をすれてば)(お勧めはしませんが笑)(多分ほぼ私だけの使い方ですが笑)寝られます(-_-)zzz 徹夜で課題したり、ちょっと仮眠を取りたい学生にはもってこいです。

対して自習室は無言で勉強をする場所で、みなさんが持つ自習室のイメージそのものです。

公共の施設は平日には人が多くて、休日は割と空いています。私はカフェのような雑音を聞きながら勉強するときと、無音の中で集中したいときが交互にくる人間なので、ラウンジと自習室が隣接しているのは助かります。

 

設備というより制度に近い話ですが、公共は留学制度が整っています。友人数名には、キャンパスアジア(中国、韓国の大学で学べる制度)を利用したり、交換留学でパリのシアンスポで学びたかったため公共に進学したという人もいます!

英語だけの情報になりますが、公共から留学する際の詳細については以下をご覧ください。https://www.pp.u-tokyo.ac.jp/student-activities/double-degree-program/

 

M1を振り返って

ー 私の履修スケジュール

まず、私のM1における実際の履修スケジュールは(聴講は除く)以下の通りです。授業名の前の経は経研の授業、公は公共の授業を意味します。博士を目指さない場合には以下のスケジュールとは大きく変わるものになると思われるのでご注意ください。

 

Sセメスター(春学期)

月曜:「経:経済学のための数学」「経:計量経済学Ⅰ」「公:Microeconomics」

火曜:「経:ミクロ経済学Ⅰ」「経:マクロ経済学Ⅰ」

水曜:「公:政策担当者が語る日本の財政金融論」

木曜:「経:計量経済学Ⅰ」「公:Microeconomics」「公:Practice Session for Microeconomics」

金曜:「公:知的財産権」

土曜:集中講義の「公:経済物理学」

・「経:ミクロ経済学」などは経研のコア科目です。「公:Microeconomics」は公共政策のコア科目です(なお、公共のMicroeconomicsは経研のミクロI・IIに対応しています)。本来でしたら博士進学を目指す場合には公共のコア科目を履修する必要はありませんが、経済政策コースの同期たちと一緒に勉強する機会が欲しかったなどの理由でこちらも履修しました。

・集中講義の「公:経済物理学」は、他の授業のように毎週ある授業ではなく何週かの土曜日にまとめて複数回の授業を行うスタイルです。

・「経:計量経済学Ⅰ」についはS1ターム(春学期前半)のみの開講で、他の授業については春学期を通して開講される授業でした。

・ただし、私はSセメスターで授業を取りすぎてしまい、数科目ほど履修中止(期末試験辞退)しました。。。


Aセメスター(秋学期)

月曜:「経:ミクロ経済学Ⅱ」「公:国際開発政策・評価論」

火曜:「経(学部):障害と経済」「経:マクロ経済学Ⅱ」

水曜:「公:立法学」「公:事例研究(資本市場と公共政策)」

木曜:「公:政策過程論」

金曜:「公:事例研究(日本のマクロデータによる政策分析)」

・AセメスターではSセメスターでの失敗を活かし、取れる範囲で履修を組みました。そもそも公共では、1年間で履修登録可能な最大の単位数は38単位までなので、Sセメの履中の影響でAセメスターではあまり履修登録することができなかった事情もあります。とはいえ、経研の卒業単位は30単位ですが、公共は46単位なので授業数は必然的に多くなる傾向になります。

公共での授業は、法学・政治学・経済学からの実務者の先生方が多いところが魅力の一つでもあります。例えばAセメスターで受講した立法学の授業では、先生が衆議院法制局の方なので、国会特別見学と衆議院法制局でのプチ講義を受けることができました。このように、現地に赴く授業は他にもあり、同期が「東北のどこそこまで授業で行ってきた〜」と言っていたのも耳にしたこともあります。先生が実際に携わった法整備や、フィールドの様子の話が伺えるなど、興奮冷めやまぬ授業が多いです。

ちなみに公共では、科目名がローマ字表記であれば英語開講の授業で、日本語表記であれば日本語開講の授業です。ただし、レポートは英語でも日本語でもどちらでも良いよという科目が多い印象です。見ての通り、私は日本語開講の授業を重点的に取っていることがわかりますね。。。笑

また空きコマは、経研の人たちとコアの勉強会や公共の人たちとの勉強会、経済政策コースにおける自主的な(研究)発表などを行なっていました。

公共から経研のコアを取ろうとすると大変な面は大きい


見出しに「大変」と書きましたが、あくまでも私の現在の感想です。笑

数学に強い人、学部から理論をやっていたという人はもうちょっと余裕を持って経研コアと公共の学業を両立できるかもしれません。

M1の期間は、経研のコア科目だけでも相当大変ですが、公共の卒業単位数も多いので、必然的に週のコマ数は多くなり、芋づる式に課題やテストも多くなる、といった状況でした。私は新しいことを学ぶことが好きですし、将来の夢を叶えるべく経研のコアを履修することを決めたのですが、コアと公共の授業の両立は体力的に大変でした。

が、すっごく充実した日々を送ることができました。これは建前とかではなく、本当の感想です!笑

めっちゃ大変なのはそりゃそうなんですが、公共と経研の両方で出会いは2倍、楽しさ2倍、満足感2倍!です!(もちろん疲労2倍、眠気2倍もですが・・・笑)

ー 同期と振り返って

M1の期間はあと少し残っていますが、ここではこの前同期たち(全員経済政策コースだが私以外は博士進学を目指していない)とM1全体の感想を話していたときに出てきた話をいくつか書いてみようと思います。

・これは東大経済学部出身の公共同期が話していたことですが、「公共の授業と課題だけでは物足りなさを感じるかも」というのはあるかもしれません。

私の実感としても、課題について公共の課題は時間が取られるものは多いですが、経研のコアのように(特に私の場合は)何時間頭を捻ってもわからない、という課題が頻出することはありません。公共の課題に時間がかかる背景として、公共履修要件的に幅広い分野の授業を取る必要があるため、例えば私の場合、初めて法学系の基礎授業をとった時、その基礎さえもわからず、法学部卒の公共の学生に勉強会を組んでもらったりして知識を補ったりしていました。

 

・また、ほとんどの同期が「授業課題がないときなど、自由な時間ができた時にどう活用するかはほんっとに自分次第」と言っていました。すごく当たり前のように思えることですが、私も日々痛感してます。

周りの公共学生を見ていても、RAとして長期プロジェクトに関わったり、自分の興味あることに取り組んでいたりする学生が多いと思います。また、公共では就活準備が活発に行われており、学生同士での面接練習やES添削が盛んに行われている印象があります。

・ある同期は、「要領がいい人ならば、学部生よりも就活に時間をかけることも可能な気がします。M1のときは就活に力を入れて、M2時には専門性を獲得したいという人は公共がおすすめです!」とも言ってました!

最後に

最後にせっかくですので、私が「公共所属で経研の授業を取る院生生活を選んで良かった!」と思うことを書いてこの記事を締めたいと思います。

公共でしか学べないこと、経研でしか学べないことはたくさんあります。公共の最大の特徴は実務に近い内容が学べるという点です。

自分は政策にもアカデミアにも実務にも興味がある人間なので、公共の学生として、たくさん場所に訪問し学んだり、実務家として働かれている先生方ともお会いする機会があったりしたのは、知的好奇心がくすぐられ大変勉強になりました。また、経研のコア科目をコツコツ学べる機会を頂けていることも大変嬉しいことです。こんな感じで、経研では主にアカデミアのことを学び、公共では政策や実務関係を学べているのはまさに自分にピッタリかも!?とさえ思うほどです。

これは本音の感想です!笑

進路に関する選択って、ご自身の人生のバックグラウンドによると思うので、めちゃめちゃ悩むことだと思います。私も悩みました(し、今も悩んでいる部分があります)。特に公共のようにあまり情報がない場合や周りに目指す人が多くない場合にはなおさらだと思います。この記事が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

もしこの記事よりもっと込み入った内容で相談したいことがある方がいらっしゃったら、2024年の3月まで有効な私のeメールアドレスを貼っておくので気兼ねなくご連絡ください。

tachibana-chisato215(at-mark)g.ecc.u-tokyo.ac.jp

*(at-mark)を@に置き換えてください。

また、参考資料として経研のM1での生活についてはこちらをご参照ください。

東大経研(経済学コース)に入学する方への情報提供

*1:厳密にはこれも通称です。

*2:事務の方に問い合わせた際の(口頭での)回答では「経研は他研究科なので、8単位以上履修すると卒業単位に含まれなくなるので注意が必要です。経済政策コースの学生の必修である経済コア科目を、経研のコア科目に置き換えることだけが例外的に全て卒業単位に換算される仕組みになっています」と伝えられました。