東大経研(経済学コース)に入学する方への情報提供

 

この記事は東京大学経済学研究科の修士課程(経済学コース)に入学する方への情報提供を目的に、現在のM1数名によって書かれたものです。(特に外部から進学するにあたって)入学時に知りたかった情報を網羅的にまとめました。

授業(コア科目)について紹介したあと、指導教員の決定、院生室について紹介します。なお、記憶を頼りに書いている部分もあり、正確な情報は大学の公式情報をご参照ください。

また、こちらの記事: 東大経研M1(経済学コース)のリアルな声 に外部進学5名、内部進学6名の計11名の院生のリアルな声をまとめましたので、よろしければ合わせてご参照ください。両方読むと形式的な情報も雰囲気も掴めると思います。

では、まずは授業について紹介します。

 

コア科目と履修概要


コア科目は、必修の「ミクロI」、「ミクロII」、「マクロI」、「マクロII」、「計量I」、「計量II」の6つの授業を指します。修士1年目は、この6科目に非常に多くの時間を割くことになります。「修士1年目といえばコア科目、コア科目といえば修士1年目」というくらい重要です。

開講時期ですが、Sセメスター(春学期)を通して開講されるのが「ミクロI」、「マクロI」、S1ターム(春学期前半)に週2で開講されるのが「計量I」、S2ターム(春学期後半)に週2で開講されるのが「計量II」です。「ミクロII」と「マクロII」はAセメスター(秋学期)を通して開講されます。

したがって、例えばSセメが始まった4月に履修するコア科目は、ミクロI(週1)、マクロI(週1)、計量I(週2)です。

なお、コア科目は必修ですが、(東大経研の)博士課程に進学しないのであれば(コア科目と比べると難易度の低い)公共政策大学院の授業で代替することも可能です。以下ではこの代替をしないと想定して話を進めますが、博士に行く予定がなく、どうしても苦手な科目がある場合には検討してみると良いと思います。また1年目でコア科目(の一部)を取らずに2年目に取ることも可能ですが、2年目は追試を受けられなかったり修論で忙しかったりするため基本的には1年目に取ることになります。

ここで、履修の全体的なイメージを共有すると、外部から入った場合の典型的な1年目の履修内容は(内部進学の場合は単位を持ち越せたりするので事情が異なる)、Sセメ:ミクロI、マクロI、計量I、計量II、経済学のための数学(もしくはMath 1)、 Aセメ:ミクロII、マクロII、好きな授業2〜4個、 というかんじです。

Sセメはコア科目4つでかなり忙しく、多くの人にとってもう1つ授業を追加するのでやっとだと思います。追加で受ける授業として人気があるのが「経済学のための数学」と「Math 1」です。今年は「ミクロI」と「経済学のための数学」の担当がどちらも松井先生だったので、相乗効果を狙って「経済学のための数学」を取った人が多い印象ですが、「Math1」は線形代数を日本語で講義するタイプの授業で取り組みやすく、一定数の人が選んでいました。

イレギュラーなことをしない場合には、Sセメの履修で実質的に悩むのは、コア4科目に追加で1科目か2科目どの授業を履修(or聴講)するかの判断だと思います。

対して、Aセメはコア科目が2つで、またコア科目の勉強にも慣れてくるので、自分の好きな授業を複数取るのが普通です。それぞれが自分の興味分野の授業を選んでいます。

ちなみに、コア6科目と「経済学のための数学」はいずれも英語で開講されます。授業、授業中の質問、宿題への回答、テストへの回答は全て英語です。ただしメールでの質問は日本語で対応してもらえます。例外としてミクロIIだけは、宿題とテストにおいては日本語の使用も可能でした。

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個別の授業紹介に入る前に、コア科目の成績と試験について説明します。

博士課程への進学を考えている場合は、ミクロとマクロはA(優)、計量についてはB(良)以上の成績が求められます(全てのコア科目でこの水準をクリアすることが求められます)。卒業するだけならば、いずれもC(可)以上の成績で良いはずです。

成績についてはシンプルですが、注意すべきは試験回数です。

いずれのコア科目についても、まずは本試験を受けます。その後、博士進学条件に届かない成績の場合には追試を受けることができます。さらに、それでもダメな場合は2年生で本試験をもう一度受けることができます(ただし2年生で追試は受けれらない。またあえて1年目でコア科目を取らずに2年目に回したとしても2年目に追試を受けることはできません)。

したがって、コア科目については、最大で3回まで試験を受けるチャンスがあります(とはいえば2年目まで持ち越すのは得策ではないので1年目の本試験と追試の2回でクリアを目指すのが基本です)。なお、追試は普通の科目にはありません。

また、コア科目はテスト期間が普通の授業と異なり、普通の試験期間のあとに「特別定期試験」としてコア科目の試験が行われます。例えば2021年度のSセメは授業が7/19まであり、7/20~7/30が普通のテスト期間で、8/2、8/3が「特別定期試験期間」でした。S1タームに開講される「計量I」については少し注意が必要で、S1の授業は5/27頃に終わりますが、そのあと例年ではS2の授業が始まる前に「計量I」のテストがあるようです。しかし、今年度は「計量I」のテストが他のコアと同じように8月に行われ、また「計量II」の試験が特別試験期間ではなく通常の試験期間に行われるなど計量についてはイレギュラーになりました。

(今年度はそのようにはなりませんでしたが)心づもりとしては、例えばSセメにコア科目と「経ため数」を履修するケースでは、S1が終わったタイミングで「計量I」のテスト、S2が終わったタイミングで「経ため数」のテスト(普通のテスト期間)、それが終わって少ししてから「ミクロI」、「マクロI」、「計量II」のテストが特別試験期間にあると思っておくと良いと思います。

追試については、本試が終わって少ししてから、追試を受ける資格がある人(M1に在籍していて博士進学条件以上の成績が取れなかった人)の学籍番号がそれぞれのコア科目について発表されます。その発表のあと、一定期間が空いてから追試が行われます。

コア科目の追試受験資格があるかが発表されてから追試までの期間がどの程度あるかは、年度によって違うらしいですが、今年のSセメについてはかなり長く、本試験の1〜2週間後に受験資格の有無が発表され、追試はAセメが始まってから行われました。つまり、夏休み後半を丸々追試の勉強にあてることができました。しかし例年はここまで長く追試に向けた勉強時間はないようです。なおAセメについては2/9、2/10に本試があり2/22に追試受験資格の有無が発表され、追試は3/9と3/11となりました。

ここまでをまとめると、コア科目は6つで(1年目にあえて取らずに2年目に一発勝負をしたり公共政策で代替するなどイレギュラーなことをしない場合には)そのうち4つをSセメに取ることになります。「特別定期試験」に本試験を受けて、その後成績がふるわなかったら追試を受けることができます。追試までの2回で欲しい成績を取れるように頑張り、それでもダメだったらM2にもう一度チャンスがあります。

以下、各コア科目について内容を紹介します(ただし、先生の氏名についてはホームページで公開されている松井先生以外は伏せておきます。また、その年の担当の先生によって授業の様子は変わるのでご注意ください)。

ミクロI


担当:松井先生
使用言語:英語
成績:宿題10%、(期末)試験90%
授業形式:オンライン(ただし録画なし)
宿題:5回(ただし、最終回は提出なし)
宿題グループ:3人までで作って良い
テスト形式:semi-openbook(印刷した授業資料は参照して良い)

トピック:標準的な価格理論を一通り扱いました。具体的には、 選好、選好の集計(アロー不可能性定理)、消費者の理論、生産者の理論、競争均衡、Core、CV・EV、不確実性下の意思決定など。

宿題の詳細:宿題グループは作りたい人は勝手にグループを作り、グループで1つの回答を提出します(もちろん1人で取り組んでも大丈夫です)。各宿題の後にTA(Teaching Assistant)によるセッションが授業とは別にあり解説が行われます。また、提出した宿題は採点されて返却されます。

TAセッション:TAセッションは宿題ごとにその解説があるのみでした。したがって、5回のTAセッションがありました。

特徴:授業内容は標準的ですが、宿題は非常にユニークで、授業内容を理解したらと言って解けるものではありませんでした。イメージとしては、授業で習ったのがサッカーの普通のシュートだったら、宿題で出るのは「ちょっと応用してカーブシュート打ってみようか」みたいな問題です。

宿題は難易度も分量も多いですが、松井先生のホームページに過去の宿題とその答えが公開されている、宿題の成績への影響は少ない、グループを作って良い、などの事情もありものすごく宿題に苦しむわけではないです(とはいえ大変です)。

試験の様子:本試については授業内容と宿題をやっていても解くのがかなり難しい問題で、今年は特に難しかったようです。対して追試は本試と同じ問題が多く、本試のあとにしっかり復習していたら大丈夫なものでした(ただし、例年そうであるわけではないようです)。

その他:松井先生のホームページに授業資料や試験問題などが公開されていますので事前に宿題のイメージなどを掴んでおくと良さそうです。

マクロI


使用言語:
英語
成績:宿題40%、(期末)試験60%
授業形式:オンライン
宿題:4回
宿題グループ:
作ってはいけない(相談は良い)
テスト形式: closed book(何も参照してはいけない)

トピック:時系列分析(Time Series Econometrics)と、標準的なマクロ理論を扱いました。
時系列分析は、AR過程、VAR過程、単位根過程など。マクロ理論は、ソローの経済成長理論、消費、投資、実物景気循環論(Real Business Cycle Model)、New Keynesian Modelなど。

宿題の詳細: 宿題は4回。宿題の提出期間は長め。いずれの宿題においても理論パートと実証パートの両方が出題されました。実証パートではPythonとMATLABを使用しました(ただし、他のプログラミング言語でも可)。1回の量も多く、また成績への影響も大きいため宿題は大変でした。

TAセッション:TAセッションは計2回。宿題の実証パートで使うプログラミング言語についての説明でした。

特徴:授業の前半で時系列を多く扱うこと(ただしこれは今年の担当の先生の特徴であると考えられる)。時系列は初見では理解がかなり難しいため、沖本先生の『計量時系列分析』の1章~5章などを読んでおくのがおすすめです。

試験の様子: 時間は2時間。標準的な問題もある一方で、難しい問題も多かったです。全体的に計算量が多く、時間が足りないと感じました。

その他:
宿題に関しては、理論も実証も得意という人は少ないと思うので、助け合いながらやるのがおすすめです。

計量I


使用言語:英語
成績:宿題20%、期末試験80%
授業形式:オンライン(録画なし)
宿題:4回
宿題グループ:
3人までで作って良い
テスト形式: 書き込んだ1枚の紙を持ち込んで良い

トピック:Greene, W. H. (2018). Econometric Analysis, 8th ed. に準拠した内容を扱いました。具体的には、最小二乗法、仮説検定、操作変数法、一般化最小二乗法、GMM、最尤法など。

宿題の詳細: 細かい採点結果は通知されないですが、問題ごとに点数は教えてもらえました。TAセッションでの解説が宿題ごとにありました。グループワークが可能で宿題の分量もそこまで多くないので他の科目と比べると若干軽かった印象です。しかし最後の方は難易度が上がってきました。

TAセッション:TAセッションが多かったです。各宿題の解説に加えて、数学的補足についてのTAセッションもありました。

特徴:計量IIで高度な内容を扱うこともあり、そこまでこちらでは難しい内容は扱われませんでした。しかし、週2回+TAセッション多め、となっており復習までちゃんとやろうとするとS1の多くの時間が取られる授業です。行列の基本的な計算は多く使うので事前に慣れておくと良さそうです。また、確率収束などの各種収束概念や、期待値や条件付き期待値などのそれなりに厳密な定義も事前に少し知っているとスムーズに入れると思います。

試験の様子: A4用紙1枚のcheat sheetのみ持ち込み可。試験時間は他のコア科目のテストとは異なり90分と少し短いです。

その他:TAセッションとは別に、2人のTAさんがそれぞれ質問できる時間を設けてくれていました。zoomに入ってきてくれれば質問に答えるよ(もちろん別途メールでの質問も可)という形式で、週2コマ分zoomでの質問時間が取られていました。この授業ではプログラミング・統計ソフトは要求されませんでした。

計量II


使用言語:英語
成績:小テスト25%、中間テスト・期末テスト75%。
小テストについては5回中、点数が良い4回分が採用される。中間•期末テストについては『中間テスト25%+期末テスト50%』もしくは『期末テスト75%』のいずれか良い方が採用される。
授業形式:オンライン
宿題:6回(提出なし)、2020年度は4回。
テスト形式: open book (ただし、紙に印刷)。

トピック:パネルデータ、ダイナミック・パネルデータ、非線形モデル(分位点回帰、ロジットモデル、トービットモデル、duration model、非線形GMM)、ノンパラメトリックモデル、セミパラメトリックモデル。

宿題の詳細: 宿題は6回。提出はありませんが、TAさんが作成した解答が公表されます。授業で習った手法をRで回してみる部分もあります。なお、小テストはclosed book。

TAセッション:初回はRの使い方を習い、それ以降は宿題の解説。

特徴:おそらく、すべてのコア科目の中で一番難しいです。博士課程進学要件がB以上であるのがせめてもの救い。よほど計量経済学に精通していない限り、一度の授業ですべてを理解するのは難しく、特に後半のノンパラメトリック・セミパラメトリックモデルが難しいです。

試験の様子: 試験時間は二時間で、印刷したものは持ち込みが可能。しかし、持ち込んだものを悠長にみている時間はないし、そもそも持ち込んだ資料が役に立つことは少ないです。進学要件であるBを目指すなら、まずは前半のダイナミックパネルと非線形モデルを確実に解けるようにすると良いと思います。Aを目指すなら、ノンパラ・セミパラについても解けるようになる必要があります。

その他:計量1の内容はわかっている前提で進むので、不安がある場合はS2タームが始まる前にきちんと復習したほうが良いです。授業の前半部分を理解するうえで、末石先生の『計量経済学 ミクロデータ分析へのいざない』がとても重宝しました。後半部分は教科書であるEconometrics.pdf (wisc.edu)が理解の助けになります。Sセメは計量経済学がとても大変なので、あまり得意でない人は春休みのうちに勉強しておくのがおすすめです。

 

ミクロII


使用言語:英語(ただし宿題と試験は日本語も可)
成績:宿題30%、(期末)試験70%
授業形式:前半:オンライン、後半:ハイブリッド
宿題:6回(すべて提出あり)
宿題グループ:作ってはいけない(宿題に関する相談も不可)
テスト形式:closed book(何も参照してはいけない)

トピック:標準的なゲーム理論を一通り扱いました。具体的には、標準形ゲーム、展開系ゲーム、ベイジアンゲーム、逐次均衡、繰り返しゲーム、オークション、シグナリング、アドバースセレクションなど。

宿題の詳細:宿題はほぼ隔週で6回。期間は1週間。各宿題のあとに授業とは別にTAセッションで解説があります。また、提出した宿題は採点されて返却されます。

TAセッション:TAセッションは宿題ごとにその解説があるのみでした。したがって、6回のTAセッションがありました。

特徴:非常にバランスが意識されていると感じる授業構成でした。宿題に関しても、定義を確認するような問題、理解を深めるための問題、少し捻っていて面白い問題、などがバランス良く出題されていました。授業内容も各授業1つのトピックを初歩から(ある程度)高度なところまで扱っており、ゲーム理論に触れたことがない人にとってもゲーム理論を勉強済みの人にとっても勉強になる内容でした。

試験の様子:
すごく難しい問題というより、少し捻ってはいるが基本的には授業と宿題の内容に習熟していれば解ける問題が多く出題されました。

マクロII


使用言語:英語
成績:(期末)試験100%
授業形式:前半:オンライン、後半:ハイブリッド
宿題:なし
テスト形式: closed book(何も参照してはいけない)

トピック:メインテーマは金融。前半はMoney in Utility modelやニューケインジアンモデルを扱い、後半は銀行やマクロプルーデンス等を扱いました。教科書に沿うというよりも、有名な論文をいくつかピックアップして習うイメージ。

宿題の詳細: 宿題はありませんでしたが、Problem setが5つ公開されました(答えも公開)。提出不要の宿題が5つあるイメージです。

TAセッション:基本的に毎週1コマ(105分)オンラインで行われました。授業では扱いきれなかった内容と、Problem Setの解説が行われました。授業の理解を深める上で非常に役に立ちました。

特徴:今年は他のコア科目と比べると比較的楽ではあったが、同じ先生でも年によって中間テストなどがあるので一概には言えない。

試験の様子: 期末試験はProblem Set よりはやや優しい問題が出る。過去問が数年分配られるので、解いて傾向をつかむと良い。時間・内容ともに、マクロ1などよりは解きやすかったです。

その他:今年度は期末試験一発でしたが、中間試験がある年もあるようです。マクロIとは異なりプログラミング・統計ソフトは要求されませんでした(宿題でもテストでも要求されませんでした)。

以上がコア科目と履修に関する説明です。

指導教員の決定

ここからは指導教員の決定について説明します。大学院1年目の一大イベントです。コア科目と指導教員選びが大学院1年目の主なハードルだと思います。

基本的な流れは、

【STEP1】12月上旬にあるガイダンス期間に、指導してもらいたい可能性がある先生3人以上からガイダンス(説明)を受ける。
【STEP2】1月上旬に第一志望〜第三志望までの先生の名前を記入して提出する。
【STEP3】3月頃に指導教員が発表される。

となっています。

今年度に関しては、「この授業を履修していないと自分を希望できません」のような条件は(明示的には)どの先生からも経済学コースにおいては出されていませんでした。ただし、例年そうであるとは限らないようです。

ガイダンスの形式は先生によって異なっており、個別に1時間以上面談するケースもあれば、その先生のガイダンスを受けたい人が集まって一気に説明を受けるケースもあります。後者の場合には、先生が指導方針をお話されたあとに簡単な質疑応答がある形式が多かったです。

とりあえず、12月までは基本的に行動することはないので、10月くらいからどの先生のガイダンスを受けるかを考え始めると良いと思います。もし希望分野がはっきりしている場合には、夏休みにコンタクトを取って勉強会に参加させれもらえないか相談してみるなどしても良いとは思いますが、正規の動きだしより早めに動かなかったからといって不利になる印象はあまりないです。

院生室

最後に院生室について説明します。

参加は任意なのですが、年会費5000円で「自治会」なるものに入ることができます。経済学系の大学院生の自治組織で、入るのがおすすめです。

自治会に参加すると、「経済学コース」「統計コース」などコースごとに部屋が割り当てられており、M1の間は基本的に大部屋を同期と使うことになります。経済学コースの場合、以下の写真の部屋を同期と使うことになると想像すればOKです(厳密には小部屋と呼ばれる小さめの部屋を割り当てられる人もいます)。

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院生室は24時間使用可能です。定位置がなんとなく決まってくるので、自分の机を決めて教科書や筆記用具などを置いておくことも可能です。夏には冷蔵庫にアイスを買い込んでいる人たちもいたりします(笑)。それぞれの人がそれなりに自由に利用しています。

経済学コースの人は、自分たちに割り当てられた部屋を「院生室」と呼んでいますが(おそらく違うコースの人も自分たちの部屋のことを「院生室」と呼んでいると思います)、院生室に来る頻度は人によってまちまちです。毎日来る人もいますし、週1回くらいの人もいます。また、学年によって違うとも聞きますが、少なくとも今年は誕生日パーティーやクリスマスパーティーをするなど仲良く過ごしています。


院生室では気軽に勉強の相談ができますし、盛り上がると院生室のホワイトボードで勉強会が始まったりもします。諸々の情報共有もできますし、何より楽しいのでオススメです。経済学コースの院生室に所属しているのは20人くらいだと思います。

補足情報

主に履修について細かい情報をまとめます。

・S2の授業の履修登録はS2が始まってからです。A2についても同様です。したがって、Sセメにコア4科目と「経ため数」を受ける場合、4月に履修登録をするのは「計量II」以外のコア3科目と「経ため数」です。

・基本的に用いる大学のシステムは「UTAS」と「LMS」です。「UTAS」ではシラバスの閲覧・履修登録・掲示の確認・成績表示などができます。履修登録した後は、基本的に「LMS」を利用します。こちらでは各授業の宿題提出や授業資料の確認ができます。

・授業を履修するための選抜や抽選は基本的にありません。どの授業も、普通にUTASで履修登録するだけで履修できるはずです。ただし、公共政策大学院の授業は抽選があったりするので注意が必要です。

・公共政策大学院の授業でコアを振り替えることはできますが、諸々細かい話があるので、実際に利用する場合には履修案内をよく見ることをお勧めします(例えば、経研の計量Iと公共政策の計量の授業を両方履修した場合の単位換算など。授業名は違いますが片方しか反映されないらしいです。また全てのコア科目を振り替えることもできないです)。

・上述の通りコア科目をM2で受け直すことも可能ですが、実際にやった方によると、計量はB以上の成績で良いためまだ大丈夫ですが、ミクロ、マクロはA以上の成績を1発で取るプレッシャーがあり、またAセメの場合は修論もあるのでコアをM2に持ち越してしまうと精神的にかなり大変らしいです。

・「未受験」というのがあります。テストを受けなかった場合、その授業の成績は「未受験」になります。コア科目の追試は本試が未受験でも(つまり本試を受けなくても)受けることはできます。またコア科目に限らず今年悪い成績がつきそうだがどうしても良い成績をその授業で取りたい場合には、テストを受けず未受験にしておいて、来年もう一度その授業を受ける手があります。こうすると1年目の成績がつかないので、成績が良くなるわけです。

・ガイダンスに関して、何名かの先生は、「内定」制度を採用しています。ガイダンス期間のあと、その先生を第一志望で1月に提出する場合には先生にメールをして、そこで選抜が行われ1月の提出の前に「内定」が出されるようです。若干イレギュラーな形式の先生もいることは頭に入れておいても良いかもしれません。しかし、だからといって先に何かしらのアクションをしておくものではないためあまり気にしなくても大丈夫です。また、そのようなイレギュラーな制度を採用している先生についてはガイダンスの時に先生から説明があります。

・院生室の場所は分かりづらいです。「経済学研究科棟」ではなくそこに隣接する(両者はドアで繋がっている)「東京大学国際学術総合研究棟」の6階です。また土日は学生証がないとフロアのドアや建物のドアが開かないので注意が必要です(学生証を壁に設置されている機械にかざすとロックが解除されます)。

・院生室と同じフロアに「自治会室」もあります。経済学コースに限らず自治会に所属している院生が予約制で使え、勉強会で利用することが多いです。予約はドアに貼ってある紙に時間と名前を記入するアナログな方式です。

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以上が、私たちが入学時点で知っておきたかったことです。M1は色々と大変でしたが、大体のイメージを先に掴んでおくと少しは楽だと思いますので、この記事がスムーズな滑り出しに役に立ったら嬉しいです。

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