通学路でふりかえる大学院生活

大学院を卒業して就職するので(卒業を1年延ばしていたので3年かけた修士課程が終わりました)大学院生活を振り返りたい気分になってきました。 ただ、ほんとうに色々な思い出がありすぎて文章で振り返るのは骨が折れすぎそうです(笑)。 そこで代わりに、気が…

大学に向かう電車の中で急に行き先を変えてみた。

色々な事情が重なったんです。予定されていたミーティングがなくなったり、ほぼ毎日大学に来ている友達に一緒にご飯食べようとLINEしたら「今日は行かない」と返信がきたり。大学に向かっていたはいいものの、どうにも気分が乗らなくなってきた僕は、思い切…

帰る街が海外にある、ということ。

「高校留学の魅力」について考える機会は多かった。なんのことはない自分自身が高校留学をしていたからだ。僕は高校時代1年間メキシコに留学して、現地の高校に通いながら現地のホストファミリーと暮らした。珍しいようにも思えるが僕が利用したAFSという高…

経済学(社会科学?)の目的ってなんだろう。

マクロ経済学を専攻している友人たちと、「現在のマクロ経済学に満足している?もしマクロ経済学を大きく変えられるとしたら何を変えたい(例えば全く新しいタイプの手法を取り込んだり、現在主流の仮定をひっくり返したりできるとしたら何をひっくり返す)…

論文を読むスピードが2~3倍速くらいになってきた。

自分が専門にしているSocial Choice Theoryの論文を読むスピードが半年前比で2倍〜3倍になってきて、生産性がすごく上がりました。慣れもあると思うのですが論文の読み方を根本から変えたことが大きいと思っています。学部生の時から、僕は論文を1文ずつ前か…

やっぱりVRだと思うんです、一番面白いのは。

なぜか分からないけど僕は昔からVRに惹かれています。こう書くと家にVRの機器を持っていたりするのかと思われそうですが、そんなことはなくて実際に使用したのは秋葉原の店頭で数回体験した程度です。・・・でもなぜか高校生くらいのときから、「VRってなん…

「編集者の工夫をもっと聞いてみたい!」と思うことが多いです。

前から楽しみにしていた行動経済学の本がそろそろ出版されるらしい。そこでネット上で公開されている表紙を見てみた。 www.nippyo.co.jp 「電球」がドンと中央に置いてあるデザイン。で、これを見た時に思ったのだけど(今日の本題はこの本そのものについてで…

今日は卒業式、、、あれ?

本日2023年3月23日は東京大学経済学研究科の卒業式(正確には修了式)でした。本来だったら僕も卒業するはずだったのですが、今年は卒業せずに1年間卒業を延ばして来年卒業することにしました。なんだかややこしいことになったものです(笑)。ということで…

東大経研の修士2年間ってぶっちゃけどうだった?

この記事は、東京大学経済学研究科の修士課程(経済学コース)のリアルな情報を提供しようとする試みです。受験を本格的に検討している方、これから入学する方を読者として想定しており、修士課程が丁度終わるタイミングの現在のM2のアンケートを13名分載せて…

if と if and only if

*この記事は経済学(や関連分野)で専門書を読み始めたくらいの人を想定読者にしています。分かってしまうと簡単だけど大学院入って最初の数ヶ月は混乱していたこととして、if と if and only ifの違いがあります。僕以外の同期でも混乱している人がいました…

反例って反例になっていればいいってわけではないんだね

大学院1年生の時に受けていたミクロ経済学の授業では、「次の命題を証明するか間違っていることを(反例を示して)示しなさい」というタイプの問題が多く出題された。こういう種類の問題が出た時にはまずは反例を見つけようとすることが個人的には多いけど、僕…

先日の記事に頂いたコメントへの返信。

先日公開した記事(哲学の問題に数学で挑むってどういうかんじ? )について多くのコメントをはてなブックマークで頂いたので、いくつのコメント(特に技術的な疑問点)について僕の考えを書いておきます。この分野に興味を持ってくださり、ありがとうござい…

哲学の問題に数学で挑むってどういうかんじ?

僕は経済学研究科に所属する大学院生です。ただし経済学の中でも特殊な領域を専攻しており、「どんな社会が”良い"社会か?」「”公平な"資源の配分とは何か?」など哲学的な問いを扱っています。この記事では、初歩的な数学以外は前提知識なしに、社会的選択…

選択肢の集合上のOrderingを、人々の幸福の情報を主に用いて作る(1)

このシリーズでは、「社会が取りうる選択肢の集合(or あり得る社会状態の集合)が与えられたときに、『人々の幸福の情報』を主に用いながら、(社会にとっての望ましさと解釈される)上のorderingを定める問題」について扱っていきます。要は「社会にとってど…

学部時代の恩師の最終講義に行ってきました。

あなたはどんな時に、「自分は偉いなぁ」と感じますか?予習復習をした時、落ちているゴミを拾った時、、、色々あると思いますが、僕は早起きをして6時台に家を出た時です。そうです、今日の僕は偉かったんです。だって見てください。 こんな空の色を見たの…

Fair Allocation Ruleの領域の色々な公平性の概念(後半)

前編はこちら。公平性8: envy freeこの公平性は具体的な1つの公平性ではなく、として何を採用するかによって内容が変わります。特定の仕方によっては、envy freeに一致したり、average envy freeに一致したり、strict envy freeに一致したりします(ただし…

Fair Allocation Ruleの領域の色々な公平性の概念(前半)

William Thomson先生の「Fair Allocation Rules」(Handbook of SCW, chap21)を参照しながら、envy-freeを中心にいくつかの公平性の概念についてまとめてみようと思います。中級レベルのミクロ経済学の知識を前提にします。 今回考える「経済」について今回…

東大公共政策大学院所属で、経研のコアを取っている現状からの情報提供

*この記事は東大公共政策M1の橘さんの寄稿です。このブログの管理人は東大経研(経済学研究科)の院生ですが、「東大経研(や他大学の経研)と東大公共の両方の入試に受かったがどちらに進学するか悩んでいる」という声をこれまで複数回聞いたことがあります…

2023年に習慣化すること。

明けましておめでとうございます!!ただいま、1月1日の夜です(厳密には2日に入ったところ)。去年はこのブロブに色々な記事を書くことができて、そして想像以上に多くの方に読みに来て頂けて、すごく楽しい場になりました。ありがとうございました!今年も…

「ルワンダ中央銀行総裁日記」を読んですごく良かった。

前に数十ページだけ読んでそのままにしていた「ルワンダ中央銀行総裁日記」を気合を入れて読んでみた。新書ではあるが濃度が半端なくて読むのは大変であったが、3日間に分けて読破した。この記事では本書の魅力、思ったこと・考えたことなどをまとめてみる。…

帰納法を用いたアローの不可能性定理の証明

このブログではこれまでアローの不可能性定理の証明を3パターン扱ってきましたが(例えばExtremal Lemmaを使った証明はこちら:アローの不可能性定理の証明)、 帰納法を用いた証明は取り上げてきませんでした。ただ、やっぱり帰納法を使った証明も捨てがた…

数学に期待することしないこと。

YouTubeのレコメンドに数学の動画が出てきたときにふと気づいたのだけど、最近数学に「神秘性」みたいなものを期待しなくなってきたかもしれない。 「へー、こんな美しい数学的性質があるんだ!数学って不思議な世界だなぁ」 みたいな魅力を以前はよく感じて…

大学院に行くごとに同じ場所から写真を撮ってみました。

去年(2021年)の12月頃にふと思いついて大学院に行くごとに写真を撮ることにしました。・・授業がオンラインだったり、違う駅から登校する日などもありましたが、この1年間で88枚になりました。・・2021年12月〜2022年12月の変化をどうぞ! Fin.

SFCの周辺が自然豊かでいいかんじでした〜。

前の記事(SFCに向かう電車の中で気づいた教科書の読み方の変化)でも書いた通り、今日は母校である慶応大学SFC(湘南藤沢キャンパス)に行ってきました。SFCはこんなかんじ。 普段は芝生がもっと青くて綺麗なんですけどね〜。とはいえ、やっぱりいいかんじ…

SFCに向かう電車の中で気づいた教科書の読み方の変化。

今日は近くに用事があったので、久しぶりに母校である慶応大学SFC(湘南藤沢キャンパス)に行ってきました。懐かしいような気もしましたが、最後に行ってから2年は経っていないのでそこまで懐かしくない気もして微妙な気持ちになっていました(ただキャンパ…

nonwelfare informationを明示的に扱う枠組み。

*この記事は社会的選択理論の知識を前提にします。特に、「規範的な議論の2つの枠組み」を事前に読んでいると分かりやすいと思います。 この記事ではBBD(2004, Chap3)に従って、規範的な問題について考えるためのある枠組みを紹介します。今回紹介する枠組…

整体で考えた公平性

「大学院生です」と自己紹介すると、「何の研究しているの?」とたまに聞かれる。こう聞かれると最近は、「公平性の研究をしています」と答えることが多い。人口倫理も研究してるけど、そっちは説明が難しい。・・・今日は筋肉痛が酷くて近所の整体に行って…

人口倫理の不可能性定理の紹介(BBD, 2005: Theorem 5.4)。

*この記事は社会的選択理論の知識を前提とします。「Population Ethicsの紹介」「社会を構成する個人の集合について」あたりを事前に読んで頂けるとスムーズです(特に最初のやつ)。 考える対象は何?社会的選択理論におけるよくある枠組みとして、社会を構成…

書き出しに嫉妬。

ふと手に取った太宰治の短編集。書き出しがどれも上手い、すごく上手い。 小説にせよ新書にせよ普通の本には「書き出し」は1つしかないけど、短編集だと色々な「書き出し」を簡単に見比べられる。どの書き出しも個性的でほんと嫉妬するくらい上手い。まぁ実…

経済学を1日10時間勉強するための魔法の言葉。

経済学の魅力の1つは、社会の問題について考えるための概念を自分たちで自由に構築するところだと思う(これは本当)。そしてそんな経済学を学ぶ大学院生たちが、直面している一番の問題は、「とにかく経済学の勉強をしないといけない」こと。断じてサボっ…