2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

613号室の猫。

*このブログ初めての小説です!なおタイトルの613号室は東大経研のM1が共同で使うそれなりに大きな部屋で、ここが舞台です。吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。なんでも大きくて赤い門の端でニャーニャー泣いていたこと…

「経済学は一旦全部忘れよう」

大学院の同期には修士が終わっても経済学を続ける人が多い。そして、もしかしたら彼らと一緒に何かしらのテーマについて考えることが将来あるかもしれない。その時には、この記事のタイトルの言葉を伝えたいなと思っている(経済学の観点からの専門的コメン…

Bossert&Fleurbaey(1996)の紹介記事の補足。

先日紹介したBossert&Fleurbaey(1996)の証明などを補足しておきます(また、追記でこの論文を発表した時に指導教員から貰ったコメントについても載せておきました)。論文には載っていない証明もあるので少し間違っているところもあるかもしれません。ちなみ…

自分の感性に合った言葉をファイリング。

普段は大学院で経済学をやっているけど、美意識とか感性をもっと磨きたいので、「いつまでも眺めていたいなぁ」と思える言葉に出会ったらこの記事に随時ファイリングしておこうと思う。 選定基準 ・自分のスマホで表示した時に長さが1行以内。・好きな感性の…

社会を構成する個人の集合について(社会的選択理論の文献を読むときの整理)。

*この記事はsocial choice theoryの文献を読む人向けの記事です。他の経済学の分野でもそうだけど、社会的選択理論においても「社会を構成する個人の集合をとする」みたいにモデルをセットアップすることがある。ただし文脈によってはこのがその論文内でずっ…

Bossert&Fleurbaey(1996)の紹介。

「環境(家庭環境など)が良かったため、努力は少ないけどある程度の課税前の収入がある人」と「環境(家庭環境など)は悪かったが、努力が多いことで同じだけの課税前の収入がある人」がいた場合、この2人に対する所得税は同一であるのが公平だろうか?家…

なんでリンゴが工場になるわけ!?

*以下は僕がとても苦手なマクロ経済学についてなので、間違っていたり逆に認識が同じだったりしたら是非コメントなどで教えてほしいです。マクロ経済学をやっていて学部の時からずーーーっと困っていたことがあった。モデルはなんでもよいのだけど、よくある…

守破離はいいと思うけど一番最初は「守」ではないと思う。

僕は独自のやり方を採用するのが好きな人間です。そうするとよく「守破離(しゅはり)という言葉があってだね。まずは既存の型を守る。そして次に自分なりの工夫をして型を破る。最後に型から離れて独自のやり方を創る。この順番での成長が大事で、最初から…

アニメ『サイコパス』1話〜5話を見て考えたこと

「社会的選択理論に興味があるなら面白いかも」と勧めてもらった、アニメ『サイコパス』の1話〜5話を見てみました。未来都市が舞台で、主人公は警察に配属された新人です。「犯罪係数(犯罪をする可能性が高さを示す数値だと思われる)」と呼ばれる数値が基…

論文の長さに関して心に残っている言葉。

あれは高校の生物の授業だったと思う。DNAの二重螺旋構造を発見した歴史的論文のコピーを先生が配ってくれた。歴史的な論文とのことだったが、なぜか2枚のプリントが配られただけだった。「実際の論文はどうせ膨大なんだろうけど、いま配られたのは要約なん…

補償の経済学(Envy-Free関連のいくつかの配分ルール)

*この記事は中級レベルのミクロ経済学を前提にします。社会的選択理論のスターであるMarc FleurbaeyさんがHandbook of Social Choice and Welfareに書いた「Compensation and Resposibility」を勉強中なので、内容をまとめてみたいと思います。 (この文言は…

VCGメカニズムが正直申告を引き出すことの説明(ちょっと洗練させたversion)。

この記事はVCGメカニズムを学習済みである方に向けて、VCGメカニズムにおいてどうして正直申告が引き出されるのかをプレーヤーの目線に立って説明しようとする記事です。前に同じ趣旨の記事を書きましたが、こちらの方が洗練された説明になっている気がしま…