書き出しに嫉妬。


ふと手に取った太宰治の短編集。

書き出しがどれも上手い、すごく上手い。


小説にせよ新書にせよ普通の本には「書き出し」は1つしかないけど、短編集だと色々な「書き出し」を簡単に見比べられる。

どの書き出しも個性的でほんと嫉妬するくらい上手い。まぁ実際には嫉妬するというよりは、ただただ「こんな風に色々なスタイルの書き出しを自由に使いこなせたら楽しそうだな」って思った。

さすが文豪だ。笑




でもいざ自分が何かを書こうとするときって、どうしてもメインメッセージに注目しすぎてしまうので、何かの機会に意識的に練習しないと、書き出しが上手くなることってなさそう。これは割と大きな問題かも。

そこで、書き出しについて練習してみることにしました。この記事では、ある1つのテーマ(いまこの場で作った架空の題材)について色々な書き出しを作ってみようと思います。

具体的には、

「子どもを公園に連れていったら、いつも仲の良い友達から子どもが "いじわる”に見えることをされてしまい、自分(親)はすごくショックを受けた。しかしそこには見逃していた事情が隠れていて、子どもたちのやり取りから子育てをする上で大事なことを学んだ」

 

というそれなりにありそうな(実際に僕はこのような文章を読んだことがあります)、テーマについて書き出しを10パターン考えてみたいと思います。

僕は小論文対策などで文章を勉強したこともあって、今回のテーマで書こうと思ったら「今日は子どもを公園に連れて行ったのですが、そこで他の子とトラブルが起きてしまいました。でもそこから子育てをする上で大事なことを学んだので、この記事ではそれについて書いてみようと思います」

みたいにしがちなので、今回はイレギュラーなものも含めて色々考えてみようと思います!





まずは、時系列に沿った標準的な状況説明の書き出し。淡白ではあるけど導入に変に意識を持っていかせないためにはいいかも。

①説明


今日は休日ということもあり、昼過ぎから子どもといつもの公園に行きました。


次は、同じように時系列に沿った説明だけど、情景描写も入れてみた書き出し(最初のやつは1人語り的な印象だけどこっちは読者の想像力を喚起させそう)。

②説明(+情景)

 

爽やかな青空が広がる日曜日。子どもと一緒に公園に行きました。


次も同じように時系列に沿った説明だけど、会話を入れてみる(この題材については、こういう明るい会話を入れておくと後で起きるトラブルとのギャップがあってよさそう)。

③説明(+会話)

 

「今日も楽しみだね!」「うん!」

 

日曜日の昼過ぎに子どもと公園に行きました。


次も時系列に沿った状況説明だけど、その前にちょっと工夫を入れてみる。印象的な場面のチラ見せとなる一文を冒頭にポンと置いておく。その後はそれを放置して普通の説明を開始。

 

④印象的な場面をチラ見せさせてから説明

OOちゃんとはもう遊ばない!」

 

今日は昼過ぎから子どもをいつもの公園に連れていきました。

 

次も似たかんじだけど、ネタバレ的な一文を置いておく。

⑤一瞬だけネタバレさせてから説明

 

そういう事情があったのか、、、、。

 

日曜日の昼過ぎ、子どもをいつもの公園に連れていきました。



次も似てるけど会話とかではなくて、後半に起きることを説明する文を置いておく。こういう展開になるんだって示して読みやすくするかんじ。

⑥後ろの流れを説明風に予告してから説明

今日は公園ショッキングな出来事がありました。

日曜日の昼過ぎ。

いつもの公園に子どもと遊びに行きました。

 

ここから先はどれもイレギュラーな書き出し。


まずは、いきなり公園から始めてしまう。

 

⑦ちょっと場面を飛ばす

 

子どもたちの元気な声、鳥のさえずり。

 

日曜の公園は良い天気でした。


次は緊張感ある場面の心の声から書き出すパターン(状況説明はあとから工夫してうまい感じにやる)。自分の心の変化をダイレクトに伝えられるのは魅力。

 

⑧印象的な場面の心の声から初めてしまう

 

え?

 

なにしてるの?

それはうちの子が可哀想でしょ、さすがに。

 

次は、そもそももとの題材にはなかった違う内容を追加してしまって全然違う話から書き出す。(今回は自分の昔話を入れる)。もちろんその後に題材の話を入れる。

 

⑨本題とは違う話を入れる

何歳になっても公園では大事なことを学べるものです。

 

小学生の時、私は近所の公園のブランコの取り合いで泣いてしまったことがあります。たしかあの時は友達2人と、、、。


次は、(当事者の)回想的な会話から始める。どの題材でもできるとは限らないけどこの題材ではやりやすそう。

⑩回想的な会話

 

そういえば、今日公園でーーーってことがあったよね?OOちゃんはあの時大丈夫だった?

 

うん、だってーーーーーだったの。

 

あ、そうなんだ、ーーーーじゃなかったんだ?

ーーーーだったんだよ。


これで10個。意外と早いな。

他にも例えば、

読者に語りかける

気持ち良い風の吹く、休日の公園。


こう聞くと平和な様子を思い浮かべますか?

ところがそうもいかないものです。


とかもありそうです。また、今回の題材では子どもが寝た後の夫婦の会話とかもありかもしれません(ただし喋るのは筆者のみ)。

第三者との会話(夫婦の会話)

あ、OOちゃんもう寝ちゃったね。


今日はいっぱい遊んだからなぁ。

そういえば、今日ね。

いつもの公園に行ったでしょ。

そうそう、あの公園。

そこでさ、ちょっと大変なことがあったんだよ。

 




こうやって色々と比べてみるとなんだか面白いし、工夫のしがいが思ったより多くありそうだなと感じました。

 

このブログでは基本的には経済学を扱うので、標準的な書き出しが今度も多いとは思いますが、気が向いたときに変なのを試すかもしれません。笑

Fin.