神頼み思考法。

今日、ビジネスで活躍している友人とランチをした後に「思考法」について話し込んだ。ビジネスにも色々な思考法があるし、学問にも色々な思考法があるんだね。共通点もあったりして面白かった。
 
実は僕には思考法(ただし1日とかではなくある程度以上の時間をかけて考えるタイプの思考プロセス)について、大学4年生のときから試行錯誤している方法がある。ちょっと厨二病っぽいので恥ずかしいのだけど、この記事ではその方法論の構想について書いてみたい。
 
「神頼み思考法」

簡単にいうと、「神様の力を借りてこられたら最強じゃね」というわけだ。
 
これに行き着くには、慶應大学の大垣先生(現日本経済学会会長)に大きな影響を受けた。学部4年生のときに大学院選びをしていたとき、候補の1つに慶應の大学院があった。そのときに希望指導教員として大垣先生を指名する予定だったので、1時間ほど大垣先生に相談させて頂いたことがある。
 
その相談では多くのことを教えて頂いたのだが、次の言葉が一番心に残っている。



「たまにですけど、もうダメかなと思った瞬間に、神様が教えてくれることがあるんですよ。自分では思いつかないようなアイディアを」

そのようなお話をしてくださった。
 
僕は神様の存在を完全に肯定したり完全に否定したりはしないけれど(人によってはセンシティブな話なので曖昧にしておく)、自身の力を超えるように感じるひらめきが降ってくることは確かにあるんだろうなと思った。自分にもたまに「ひらめく」瞬間はある。もしそのひらめきの10倍のひらめきが降ってきたら、きっと自分の力を超えていると感じると思う。
 
この話を聞いたときに「もしかして、すごく大事なことを聞いてしまったのかも」と思い、とても印象に残っていた。
 
そして、その半年後。卒論を書いていた僕は、簡単な証明も終わって草稿ができた段階だった。「これでだいたい完成かな。まぁこれ以上はアイディア出てこないな」という状況。そしたらある日、昼寝のあとに、いきなりバッチーンっと今までまるで見えていなかった視点が突然得られた。実際の卒論には時間的制約によりちゃんとそのアイディアを入れ込むことはできなかったのだが、思いついた瞬間には、「これは自分の力を超えている!」と思った。
 
大垣先生とは比べ物にならないだろうが、その時に少しだけ先生がおっしゃっていたことのイメージが掴めた気がした。
 
で、話はここから。
 
この時の経験を単なる幸運と捉えて、「いつかまた神様がアイディアを教えてくれるような瞬間に出会えるといいな。基本的には今まで通り考えながら、そういう瞬間を待とう」としても良いが.....
 
「たしかに神様が教えてくれたと感じるようなアイディアが降ってくることはあるはずだ。理屈は分からないが、恐らく一定以上の思考をしたりすると降ってきたりするのだろう。そこには何かしらの法則やコツはあるはずだ。それなら、『神様が教えてくれる』というステップを折り込み済みの思考プロセスを作れないだろうか」としても良さそうだ。
 
言い換えると、自分では思いもよらなかったようなひらめきを得るステップを事前に入れ込んだ思考プロセスを作れないだろうか?
 
さすがに、ある程度の法則やコツはあると思うから、「降ってくる」確率を上げることはできると思う。僕自身、「神様が教えてくれた!」というほどではないがある程度ユニークなアイディアを思いつくことはたまにあるけど、そういうときのパターンとして、一度手元にある「それなりのアイディア」をアウトプットの形に書き出してみることで、今考えている思考の枠に対する解像度が上がって、そこから飛躍する視点が得られることがある。こういうパターンのようなものは高次の思いつきに関してもあるはずだ。
 
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視覚的なイメージでいうと、
 
一般的な思考手順は、輪郭が見えてきて、枠が見えてきて、枠の中の構造が見えてくるようなイメージ。
 



対して、「神頼み思考法」は、輪郭が見えてきて、枠と構造をこだわる所はこだわりながら作って(全体的にカッチリではないが気になるところはカッチリ作って)、色々と頑張っているうちに、外から枠をぶち壊すような視点が降ってきて、その視点を起点にして新しい枠を作るイメージ。
 


 
外から「そこまで自分で考えていたそれなりにいいかんじの枠をぶち壊す視点」が降ってくることを想定して、そこに向けて前段階の思考プロセスに工夫を入れておいたり、時間配分を調整しておくのが「神頼み思考法」。
 
例えば「アイディアが降ってこなかったときにどうするのか」の対策を決めておいたり、「アイディアが降った後に新しい枠を作るとすると、最初の枠はいつ頃までに作っておく必要があるか」を考えておいたり、「壊すことを前提とする場合には、一般的な思考法と比べて、どういう所の解像度を上げておくと良いのか」のノウハウを蓄積したりするなど、「神頼み」を本格的にやろうとすると考えるべきこと、新しく知見を溜めておくべきことは多くあると思う。
 
まぁ、一度自分で思いついた枠がぶち壊わすのは精神的にキツかったりして大変な方法であるのは間違いないけど、「この思考法が出来上がったら最強じゃね」と思っている。
 
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なお、念のため繰り返すと、これはあくまで思考法の「構想」。現在の自分ができるわけでは勿論ない。また学問においても丁寧に検証するのが大事なこともあるだろうし、自分が指導教員の先生にいま教わっているのも先行研究重視するタイプの方法だったりする。
 
新しい景色を作り出すタイプの思考方法。その1つの構想として、「神頼み思考法」がある。学部の頃「ビジネスデザイナー」の濱口さんが独自の思考法を作っていることに憧れたので、俺もそういうの作ってみたい。

Fin.