2022-01-01から1年間の記事一覧

VCGメカニズムでなぜ正直申告が引き出されるかの説明(その2)

前回の記事(その1)では、単に「単純な決定ルール」を採用すると、基本的には各人にとって、「各選択肢が選ばれたときの自身の嬉しさを並べたベクトル」と「自身が正直申告したときに『単純な決定ルール』が最大化する」ベクトルが必ずしも一致しないため…

VCGメカニズムでなぜ正直申告が引き出されるかの説明(その1)

全3回に渡って、メカニズムデザインの金字塔であるVCGメカニズムについて直感的な理解を得るための記事を書いてみようと思います。数学的な話ではなく(数学的には分かってもプレーヤーの気持ちが理解しづらいということが起きるテーマだと思うので)、プレー…

もうやばい。プリンがやばい。同期がやばい。

この記事は以下の2つの記事の続きです。時間がある方は1番目の記事からご覧ください。ただ1番目は長いので2番目からでも内容は追えます。俺、仮想通貨に手を出す(10日間の記録)仮想通貨さん困っちゃいますよ(どっちの意味で?)・・・・上の記事のう…

仮想通貨さん困っちゃいますよ(どっちの意味で?)

ついに来ました。2022年5月中旬。こちらの記事を読んでくれた人はお分かりですね。俺、仮想通貨に手を出す(10日間の記録)いまから半年くらい前に投資とかまるでやったことがなかった僕は、仮想通貨に手を出してみました。そのときに色々あって結局合計して…

たまには辛辣なことを。

昨日の記事(駐輪場で「優しさの理論が必要だ!」と思った話。)もそうだけど、このブログの記事って基本的には辛辣なかんじじゃないから、今回は珍しく辛辣なことを書いてみたいと思う(辛辣の意味はあまり分かっていないけど、要は辛口コメントみたいなも…

駐輪場で「優しさの理論が必要だ!」と思った話。

いつも駅前の駐輪場を使っている。前は月単位で違うところを借りていたのだけど、コロナがあってから誰でも好きなときに駐められるタイプの駐輪場を使っている。駅のすぐ前にあって広いし結構いいかんじ。 で、この駐輪場には、3人くらいのおじさんがいて自…

松井先生コアミクロの補足:TransitivityがQuasi-transitivityをimplyすることの証明。

現在やっているコアミクロの家庭教師の方針として、宿題1を丁寧に理解することに。最近宿題1の回答が出たので見てみると、LemmaとしてTransitivityがQuasi-transitivityをimplyすることなどの証明が乗っており、たしかにこれは重要だなと思った(内容とし…

松井先生コアミクロの補足:なんでacyclicityを考えるの?

選好に関する性質として、completeness、transitivityの他にacyclicityという条件が松井先生のミクロ経済学の授業ではよく紹介される。去年授業を受けているときにはこの条件がなぜ大事なのかさっぱり理解できなかったので、今回はacyclicityを授業で扱う気…

なぜ「知恵の種類」が気になるのか?

このブログにも「知恵の種類」を記事を気にした記事が多いと思うのだけど、なんで自分はその観点が気になるんだろう。この記事ではそれについてまとめてみたい。「知恵の種類」が気になるとは?そもそも「知恵の種類」が気になるってっていうのがどういうイ…

(続き)需要曲線と供給曲線ごめんなさい

1つ前の記事で需要曲線と供給曲線を使った中学校で習う図について「あれは当時驚きをもって受け止めるべき内容だったんだな」と気づいたことを書いた(需要曲線と供給曲線ごめんなさい)。 前の記事は、需要曲線と供給曲線を使った分析の内容ではなく「2本…

需要曲線と供給曲線ごめんなさい。

すごく久しぶりに、「需要曲線と供給曲線の図」を見ることがあった。こういうやつね。 たしか、最初にこの図を見たのは小学校か中学校だった気がする。当時はどっちが需要(Demand)で、どっちが供給(Supply)かすぐに忘れてしまっていた記憶がある(そうい…

改造手術を受ける1週間

慶応大学の坂井先生が、「院生時代に改造手術を受けたので体がそのように動くという感じである」という趣旨のことをTwitterでつぶやかれていたが、少しだけこの「改造手術」の感覚は分かる気がする。 特に去年受けていた数学の授業の宿題において、7時間とか…

”魔女の宅急便”を超真剣に見たら学べたこと。

「ジブリ作品を参考にするのはどうだろう?」昨日の金曜ロードショーは真剣に見ることにしていた。僕は将来、新しいタイプの知的な作品(論文や記事に近いけどより自由な発想で形式から考えたもの)を作ってみたいと思っている。もう少しいえば、優しさと斬…

リサイクルは誰のため?

いま急いでパソコンの前に座っている。 もうシャワーを浴びて、あとは寝るだけだったんだけど、いま感じた不思議な気持ちを書いておきたくて。こういうのはその時に書かないと。 ーーーーー 今日は「日本環境設計」という企業が運営している服屋さんに行って…

松井先生コアミクロの補足:UMPとEMPについて去年やりたかったこと。

この記事では、UMPやEMPのKKT条件を用いた解き方について去年コアミクロを勉強した時に知っておきたかったことを書いてみる。というより、「日本語できる人はWIISを絶対見るといいよ!」という情報を伝えるために書いている。僕は、コアミクロについて留学生…

神頼み思考法。

今日、ビジネスで活躍している友人とランチをした後に「思考法」について話し込んだ。ビジネスにも色々な思考法があるし、学問にも色々な思考法があるんだね。共通点もあったりして面白かった。 実は僕には思考法(ただし1日とかではなくある程度以上の時間を…

松井先生コアミクロの補足:Asymmetric Part や Symmetric Part。

この記事では1つ前の記事(松井先生コアミクロの補足:アローの不可能性定理。)に出てきたAsymmetric Partなどについての補足説明をしておきます。去年(2021年)のコアミクロの宿題2などに解説があると思いますが、それだけ読んでも理解するのは難しいと…

松井先生コアミクロの補足:アローの不可能性定理。

僕が前に書いた「アローの不可能性定理」に関する記事( アローの不可能性定理の証明 )を参照しながら松井先生のコアミクロを受けている方がいると聞いたので、そのような方のために(対象者はすごく絞られるけれど)、松井先生のコアミクロで扱われるアロ…

そういえば放置していた難問。

社会問題に関心がある大学生の方と話す機会があった。その時に、僕は次のような(哲学的な)問題に自分が興味を持っていたことを思い出した。例えば犬の殺処分の問題。殺処分されそうな犬を保護して新しい飼い主を探すような活動があるとする。そのような活…

デカルトなら博士課程に行く?就職する?

自分も含めて修士の人が悩むことの1つに、「博士に行くか就職するか」がある。僕は就職する予定で、そうしようと思う理由はいくつかあるけど、決して博士課程に魅力を感じていないわけではなくて、どちらも魅力的に感じる。じゃあどうして就職?と問われる…

やっぱり修士1年目について振り返ってみた。

昨日の記事のタイトルは、「修士1年目の感想はこれに尽きる 」。なんだけど、昨日の夜に色々と思い返していたら、修士が終わったタイミングで2年間を一気に振り返るのだといまの感覚を忘れてしまいそうだと思ったので、この1年で学んだこと・知ったことは…

修士1年目の感想はこれに尽きる。

本日4月1日から修士2年目です。本当は昨日、この1年間の振り返りをしようかなと思っていたのですが、昨日から今日にかけて学部からの友達と泊まりがけで遊んでしまったので、そんなことはできませんでした。笑・・・大学院という新しい環境に入って1年…

グラフを立体で表示するのってダメなんだっけ?

Twitterを見ていたら、こんなグラフが出てきた。注目したいのは内容ではなく、グラフの表示方法だ。 棒グラフが立体になっている。提供する情報の観点からすると立体にする必要はないのに立体にしているグラフをたまに目にする。僕は、高校3年生の時に、「意…

考えたいテーマについて自由に概念を作ってみた!出生数について。

「大学院で経済学をやっています」と言っても色々なタイプがあって、僕は円安とかインフレとかの意味が1mmも分かっていないし、分からなくても困らない分野にいるんだけど(経済学のそれなりに多くの分野ではそう)、自分がやっているミクロ理論の何が楽しい…

TJSの思い出(プロジェクトで初めて経済学を使った話)

学部1年生のときから組織開発のコミュニティーに関わっていたこともあり、学部3年の後半から半年間くらいTJSというサービスの開発に関わらせてもらったことがある。久しぶりにその時の資料を見たら面白かったので、当時工夫したり・考えたことを書いてみよ…

ギバード・サタースウェイトの定理の証明

この記事ではギバードサタースウェイトの定理の証明を紹介します。証明は有名な証明であるReny(2001)に従いますが、この記事の特徴として、自分がつまずいた箇所を丁寧に説明するとともに全体像を適宜確認することで独学でも読破できることを目指しています…

ルールを破らなくて後悔していること(高校時代の思い出)

なんで3月卒業なのかは分からないけど、イギリスの友達が大学を卒業したみたい。高校生のとき学校のプログラムで1週間くらいホームステイさせてもらった。 僕が通っていた高校では、春休みにイギリスの姉妹校に20人くらいが行くことができて、それに参加した…

中編:経済学部の授業を受ける前にやりたかったトレーニング

前編はこちら ーーーーーー次に論理についてやっていきます。論理について「ちゃんと理解できた!」となるのはこの記事では無理ですし、授業を理解するにあたってはその必要もあまりないです。やなどの記号が出てくる文を読めるようになることを目標にします…

前編:経済学の授業を受ける前にやりたかったトレーニング

僕は経済学部出身ではないのですが、学部3年のときに経済学部の授業を受け、強烈な洗礼を受けました。「全部数学で書かれていて、何も分からない」経済学部では「使用言語が数学」というかんじで、授業スライドが何も読めませんでした。そこで今回は、当時…

35歳とか40歳くらいでやりたいことなら決まっている。

ここ最近は将来について考えている。修士を終えたら一旦アカデミアは離れるつもりだけど具体的にどうしたらいいか分からない。「あーでもない、こーでもない。この道はきっと自分には合わないし、こっちも合わない。どうしたらいいんだろう。。。」こんなか…